人を褒めることと、信頼関係
私は日頃から人のよいところ、素晴らしいなぁってところをみつけると、相手を素直に褒めるようにしている。
なんでそう人を褒めるかというと、私もめっちゃ褒められたいから!!!(どやっ)
褒められたい、嗚呼、褒められたい。
どうしようこの承認欲求。
嗚呼、やばい。
そんな私の心の闇は置いといて、
褒めることは、円滑なコミュニケーションを築くのに必要なことだと思っている。
褒めはお互いが認め合える効果があるし、相互理解にも繋がり、信頼関係が生まれると思う。
この『褒め』で私が学んだことをお伝えしたいと思う。
あれは私がまだうら若き会社員だった頃(今絶賛無職)新しく入った会社の新しく就いた部所の先輩が超絶美人さんだった。なんというか、全てが規格外の美しさ。多分、女優さんとかモデルという所謂芸能人というのは、こういう人のことをいうのだろう。顔は誰よりも小さく、目は大きくくりっとしていて、肌は白くきめ細やか、背は高く、スタイルも抜群に良く、お洒落にも余念がない。そんな先輩は美人であってもそれを笠に着る人でもなく、人格者でもあり、超絶仕事も出来た。そしてその美人先輩は新人で右も左もわからない私の教育係でもあった。
先輩は時に厳しく、だがとても丁寧に仕事を教えてくれた。
そして、教わりながらその顔をまじまじと見ては、美しい、、と思っていた。(仕事しろや)
先輩に仕事を教わる身として円滑にコミュニケーションを取るために、私は取り合えず先輩を褒めてみることにした。
褒められて嬉しくない人はいないはずだとその時は思ったから。
「すんごく綺麗ですね。」
たしかこんなこと伝えたと思う。
そうすると先輩は明らかに嫌そうな顔して「そお?」ってだけ答えて、仕事の話をし始めた。
私は先輩のしかめ面がとても印象的だった。女性にとって綺麗と言われるのは嬉しいはずであるのになんでそんな嫌そうな顔をするんだろう?
これが最初の疑問だった。
その後も先輩は親切に仕事を教えてくれていたが、何か壁のようなものを感じた。
また、職場で先輩はことある事に同僚や上司から「顔が本当に小さいよね」とか「すごい美人」とか言われていた。そして先輩が面接に来た時のあまりの美しさに会社中噂になったことをかなりの頻度で話題にあがっていた。それを先輩はいつも「そうでしたか?」と困ったように笑って聞いていた。
未だに壁を感じた私は美人先輩とどうやったら仲良くなれるかと真面目に考えてみた。まずは仕事ができないと相手にされないと思ったので、仕事を必死に覚えることにした。(当たり前のことだけど)
仕事がある程度できる段階になった時、空き時間にほんのちょっとずつ話すようになった。すると先輩はお笑い番組を観ていることを知った。私もお笑い番組が大好きなので、あの番組観ましたか?なんて話しかけるうちに、お笑いの話しをするようになった。そこで気づいた。先輩のお笑いが好きはガチであることに。
先輩はかなりのお笑い番組を観ているだけでなく、どうしてこの芸人が面白いのか、あそこのトークの流れは落ちはこうだとか、ボケに対するあのツッコミは素晴らしいと熱く語るようになっていった。美しい顔で先輩はガチなお笑い評論をガチに語っていく。
先輩のお笑い評論はなるほどと納得の内容でもあり、おもしろく聞き入ってしまった。また、毎回そんなガチな視点でバラエティを観てるのかと思うと先輩がとてもかわいいらしく思えた。
ある時、特に全く意識せずに
「先輩のお笑いの話しとっても面白いです。笑いの視点も的を得てるし、お笑い評論が素晴らしいです」と言ったら
「え?ほんと?!ありがとう」
と嬉しそうに答えてくれた。
同僚や上司が顔が小さいと褒めた100倍、
私が綺麗ですねと褒めた時の100倍嬉しそうであった。
この時から私は先輩の容姿を褒めるのを止めた。最初に嫌な顔をした段階でなんとなく止めていたが、意識的に止めようと決めたのはこの時であった。他の人が褒めていても同調することも止めることにした。ただただ先輩のお笑い評論を楽しく聞くことにした。
毎回、とても鋭い視点で「先輩、さすがですね!」と伝えると、先輩は本当に嬉しそうな顔をしていた。私もなんだか嬉しくなった。その後先輩はこれは内緒だけどとプライベートな話しもしてくれるようになった。私は信頼を得られたんだと思ってとても嬉しかったのを覚えている。
先輩にとって容姿を褒めらることは嬉しいことではなかった。でも私は「美人だから褒めとけばいいだろう」って軽く考えてそれを実行してしまった。そんな私の見え透いた考えを見抜いていたのだろう。
外側しか見てなかった。
その人が本当は何を求めているかを知りもせずに。
これを機会に私は人と接する時、この人の素敵なところはどこだろうと自分の目でみるようになった。
人との会話でこの人は何を求めているのか考えるようになった。
安易に人を褒めるのを止めた。
素直に感じて素敵だと思ったことを、率直に相手に伝えるようになった。
私の言葉で嬉しそうにしてくれたこと、私もとっても嬉しかったから。